寒い季節に寒そうな産地へ、なのですが
牡蠣にシャブリと言われることを考えるとあながちこの季節と関係が無くはないのでしょうが、でも実はフランスでレストランで牡蠣とよく合わせているのは、ミュスカデかサンセールです。
まあ、そんな理屈はともかく、シャブリに行ってみたかったわけです。
幸い今年は寒いと言っても意外にそうでもなかったので、ちょっと助かりました。
今の季節は収穫後の不要な枝などを畑で燃やしている光景が、
ここシャブリやブルゴーニュではよく見られます。
祭りの後のような、静かな光景です。
今回訪問したドメーヌのひとつ
ドメーヌ・ベルナール・デュフェ。
家族経営のドメーヌで、近年有機栽培に力を入れており、
一部ヴィオディナミも取り入れています。
この日ご案内くださった当主の奥様はご実家リュリー(ブルゴーニュ地方コート・シャロネーズ)だそうで、現在リュリーのワインの醸造もここシャブリで行っています。
「私達のつくるワインは鑑賞用や品評会のためのものではなく、食事の時にテーブルの上にボトルを置いていたら、楽しい時間とともにいつの間にかボトルが空いてしまった、というようなワインなのです。」という言葉どおり、シャブリの特性はしっかりと持ちながらも、肩の力が抜けた自然体な味わい。
それはプティ・シャブリからグラン・クリュクラスに至るまで、
それぞれの個性は変わっても一貫していました。
シャブリの特性として良く語られる「ミネラル感」
テイスティング用語としての定義は未だ非常に曖昧ですが、
こちらのワインを頂くと、ミネラル感としか言いようのない感覚を感じます。
奥様いわく「最近パリのワインバーやレストランなどで、ワインに対して『ミネラル感』という言葉を使うのが流行なのですが、そんな時は私達の造るワインこそがミネラル感を体現しています、と言っています。」
だそうで
「マダムにとってミネラル感とは、どのような感覚ですか?」
と尋ねたところ、
「私の場合は、ということですが、口の中の頬の付け根の辺りが乾いたような感覚です。」と仰っていました。
確かにこちらのワインを飲んで感じるミネラル感は、まさしくそのような感覚だと思います。
ちなみにテイスティングの後半は奥様のご実家である
リュリーのワインを頂きました。
こちらはシャブリよりもっと明るく暖かみのある味わいですが、
良い意味で肩の力が抜けた感じはやはりシャブリとも共通しました。
それにしてもグラン・クリュシャブリの後にリュリーが出てくるあたりに、奥様の意気込みというか、お勧め感が伝わってきます。
やはり誰しも自分の故郷が一番ですよね。
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