アルザスのピノ・ノワール・ロゼ

今までおそらくアルザスワインでピノ・ノワールのロゼを飲んだことが多分なかった、と思うのです。アルザスワインは白ワインも、ピノ・ノワールの赤も美味しくて、ロゼまで気にしたことがなかったし、そもそも日本で見かけたことがないような??今回は初夏だったこともあるのか、ドメーヌでもレストランでもなんとなく目についたのです。

最初はあるワイナリーでの試飲で。

感想は、「悪くないけど、正直ちょっと中途半端?」

プロヴァンス・ロゼのようなキレはなく、

ラングドックやルーションのような豊かな果実味もなく、

ややもったりとした口当たりで淡い果実味、酸はしっかりありますが丸みがあり、要は素朴で地味な印象。

そもそもアルザスのピノ・ノワールの赤ワイン自体軽やかなスタイルが多いのですから、それがロゼになると、ほんとに「ごくごく薄い赤」という言葉がぴったりくるような、しかし白ほどのすっきり感はなし、そして赤のような芳醇さもなし、と、なんだか無いものばかり気になる感じと言おうか。

「このワイン、いったい何に使えるんだろ。。。」と、悩みつつ放棄していたこのアルザスのピノ・ノワール・ロゼですが、ひょんなはずみでレストランにて飲むことに。

 

ある晩レストランにて「じゃがいもとマンステールチーズのグラタンを注文。マンステールはアルザスを代表するウオッシュタイプのチーズです。

さて、ワインは。。。定番でいくならゲヴェルツトラミネールか。。。しかし、ちょっと疲れているし(旅も後半ですし)、もう少し軽めでいきたいような。。。(ゲヴェルツトラミネールって、個人的には、飲むときにちょっと気合が必要です。)ピノ・グリも良さそうですが、もしアルコール度数の高いボリューミー系が来てしまったら(アルザスはその可能性高し)今日は受け止めきれないし。。。リースリングの硬いテクスチャーは料理とのテクスチャーが合わなそうですし、ピノ・ノワールで赤にするには、料理に対してワインが強いような、しかも季節的になんとなく気が進まないし。。。

と迷いながら、お店のマダムに料理とのお勧めワインを伺うと

「ロゼがいいわよ〜」。内心、「えっ!あの中途半端ワインかぁ(失礼)」と思いつつ、しかしそこはノンと言えない日本人というか、にこやかなマダムの笑顔につられてロゼを注文。そして結果的には大正解だったわけです。なるほど、こういう時に飲むのか、と。ほくほくのじゃがいもには確かにもったりとしたテクスチャーが合いますし、そしてクリーミーなソースには尖らないけどしっかりとした酸が、仄かにウオッシュチーズの香りが漂う、やや重めの味わいのマンステールチーズの風味には僅かなタンニンがバランスをとります。

軽くもなく、さりとて肉料理ほどの強さはないこの料理に、このロゼはちょうどよいボリューム感とバランスなのです。そして暑い夏の季節でも冷やして爽やかに楽しめます。こういう発見があるから、実際に産地で飲むのがますます楽しくなるのですね。


ちなみに写真のグラタン、これでもハーフサイズです。

これの前にオニオングラタンスープも頼んだ私に、

「多分、フルサイズは多いわよ〜」とマダムの優しいご提案でした。