へそ曲がりの鰻

そして静岡での2日目。

昨夜あんなに天ぷらを食べたのに、既にお腹が空いてる午前中。藤枝市にある知る人ぞ知る鰻屋さん、「まるはん へそ曲がり」に。店名からして既に怪しいというか、ちょっと躊躇するといおうか。11時から14時までのランチのみ営業。予約は必須だそう。駅からも車でないと難しい距離ですから、地元の方でない限り、行ってみて入れませんでしたではショックが大きいかと思います。(そもそも殆どの方が予約で訪れているので、飛び込みで空いていることはまずないようです)

外観は趣きのある一軒家。そして看板もなく、入り口がどこかも判りにくい状態。内装も外観そのままの風情があり、カウンター席は6名程度でしょうか。あとはそれぞれ個室への案内となるそうです。


メニューはなく、鰻定食3000円のみ。(時として肝焼きがあるようです)

しかし私にとっては人生初体験かつ驚きの鰻でした。

まず鰻自体はさほど肉厚でもないのですが、きっちりと外はぱりっ、中はふわっ。そのコントラストが素晴らしい。(蒸して焼いているそうです)

そして写真を見ていただいた通り、結構焦げ目があるのですが、

何故かちっとも焦げ臭くないし、苦くないのです。これが本当に不思議。

そして鰻独特の臭い(クセとしての)もなく、鰻特有の油っこさや押しの強さがなく。ただただ美味しい何かを食べている、という実感。

そうこれは前日の天ぷら、特に穴子に通ずる美味しさでもあります。

実体感が希薄で、まるで夢のなかで美味しいものを食べて幸せな気分のような。。。でもある意味目が覚める美味しさとも言えます。

付け合せのお漬物もバリエーション豊かで酒飲みには嬉しい。

そしてお米も美味しい。やや硬めでさらっとしていて鰻とも好相性。

タレも甘さ控えめでさらりとした質感、もちろんくどさも全く無くちょうどよい量でした。そして食べ終わって店を出ても「美味しいものを食べた」という実感のみ残り、自身の鰻臭さが気になることはなく(カウンターの焼き場正面にいたのですが)、自身の体内から鰻を食べた感が漂うこともなく、重さを感じることもなく。ああ、説明が難しいのですが。。。


たまたま2日続けて同じような美しさをもつ料理を頂き、

ああ、料理の種類が違っても、こういう美味しさというのはあるのだな、と感じた次第。でも滅多に出逢えませんが。そう思って思い返してみるとワインにもあります。もちろんこちらも滅多に出逢えませんけどね。

ああ、それにしても思い出しても食べたくなります。


ちなみに箸置きがまたユニークでご主人の一家言?および、お店の地図やらなんやら書き連ねてあるのですが、その中にもあるように飲み物の持参は可能なようです。(というよりお店に準備はないので、飲みたければ自身で持ってくるように、というスタイル)しかしいきなり初見でそれはなかなか気が引ける雰囲気でもあり、何度か伺い徐々にお願いするのが良いでしょうね。しかしあの鰻重に合うワイン、非常にハードルが高いです。。。